釜・風炉の取扱い及び保存手入
釜及び風炉は金属でできている為、その表面が酸化するのは当然で、その錆による変化のある面白い持ち味は使用保存の如何により左右されます。
●その一
- 釜は手の汗等から錆びやすいので、その扱いには出来るだけ手を触れないほうがよく、通常帛紗又は懐紙を用います。
- 釜に使う水は金気があればよくないので、良質の井戸水や水道の水等が一番適しています。
- 極寒等に冷水を釜に入れ急激に強火にかけた場合、底が切れる恐れがありますので、冬季にはぬるま湯又は先にお湯を入れてから火にかけた方が無難です。
- 釜で湯を沸す場合、練炭・ガス等の使用は硫黄気が強い為、いたみ易いので絶対にさけて下さい。
- 釜に手の脂や他の脂気がついた場合は熱湯でよく洗い、温湿布・又は乾布で軽く拭き取ります。
- 釜は使用後湯又は水で軽く洗い、表面及び底の灰や湯垢をよく落とし、脂気あるいは糊気のない軟布や晒木綿等で、軽く水気を拭き取り炉の残火等の還火や余熱で充分に乾かします。
出来ればニ昼夜くらい、風通しのよい場所に置いて完全に湿気を除く事が必要です。
- 釜蓋の使用後の手入は釜同様ですが、撮(つまみ)を下にしてよく乾かします。
- 風炉が汚れた場合は湿布で釜同様に軽く拭き、次いで乾布で表面を傷つけぬ様にして湿気を完全に除きます。
- 風炉の使用中、湯や水が表面に落ちた場合は出来るだけ早く吹けば後かたが残りません。
- 風炉の中の灰は湿気を含み易いので、仕舞う場合は取り出した方が無難です。
- 釜を仕舞う場合はその肌は何も触れぬ様、裸のまま箱に入れるのが一番良く、その為に箱の底に十字受けや円座を作るのも一方法で、又風通しを良くする為箱に透穴(すかしあな)を明けるのも一案です。
- 風炉及び釜蓋等の保存にはよく乾いた綿入布または軟布で包み表面を傷つけない様特に留意をします。
- 釜風炉の置場所は出来るだけ乾燥した風通しの良い場所(たとえば蔵の二階等)に棚を造って置くのが最も適当です。
- もし錆がひどくなったり、湯もりがしたり痛んだ時は素人細工をするよりも早く専門家に任せた方が無難です。
●その二
- 新しい釜を使い始める時には、最初に釜に湯を三分の一くらい入れ、これに重曹を大匙ニ、三杯入れてよく溶かし、その上に水を溢れない程度に入れて一晩そのままにしておき、翌日これをあけて新しい水でよくすすぎ、湯を二回くらい取り替えて沸してから、新しい水で沸かせば臭いが非常に少なくなります。
- 釜に湯を沸かす時は、水道の蛇口を少しあけて、蓋のまましばらく釜全体に水を流します。すると釜の色肌が落ち着いてきます。
- 茶に使う水は井戸水で良いです。水道の水を使う時は前日に汲み上げておき、なるべく上の部分を使います。すると釜にもよく茶もおいしくなります。
- 釜の蓋はおしぼり(タオルの小さいもの)で、湯の沸いている時に柔らかく撫でます。すると品よく落ち着いてきます。
- 釜の使用後は十分に干します。釜には漆を相当使用してありますが、漆は140度以上の熱からは力がなくなります。湯の沸くのは100度だからと一考して下さい。
- 釜の中で干しにくい部分は、整髪用のドライヤで釜の外からでも内側からでも熱を加えます。これは近代的なよい方法だと考えられています。
- 使用後の釜に赤錆が出た場合、水を入れたままで毛の硬い筆などでその部分を水洗いして、赤い水の出なくなるまで洗い流してください。その後は(一)の方法を今一回行ってください。
- 使用後の釜は、熱さがなくなったら裸のままで、紙や布で包まずに箱の中へそっと入れておきます。移動する時のみ紙や布でしっかり包んでください。
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